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離婚時に確認したい税金|財産分与・自宅・扶養控除のチェックリスト

2026年9月28日

監修・執筆:中山慎吾(トランス税理士法人 代表税理士)

離婚を考え始めると、これからの暮らしやお金のことなど、
決めなければならないことが一度に重なります。
財産をどう分けるか、自宅に誰が住むか、
子どもをどちらが育てるかといった話し合いの一つひとつに、
税金の扱いもついてきます。

この記事では、離婚した年に確認したい税金を、財産を渡す側と受け取る側、
子どもと暮らす側と離れて暮らす側に分けて整理します。
話し合いがまとまる前に、どの資料をそろえ、誰に何を相談するかも確認できます。

この記事で分かること

  • 離婚で財産分与を受けても、受け取った側には通常、贈与税はかかりません。ただし、夫婦で築いた財産などを考えても多過ぎる部分や、税金を免れるための離婚と認められる場合は例外です
  • 土地や建物で財産分与をすると、渡した側に譲渡所得の課税が生じることがあります。分与したときの時価が収入金額になるため、購入したときより値上がりしている自宅を渡す場合は、話し合いの段階で税額の見込みを確認しておくと安心です
  • 自宅を分与するときに使えるか検討したいのが、マイホームを売ったときの3,000万円特別控除です。夫婦の間の譲渡には使えないなどの要件があるため、分与の時期や分与後の住まい方を決める前に確認します
  • 配偶者控除や扶養控除、ひとり親控除は、原則としてその年の12月31日の状況で判定されます。離婚が年内か年明けかで、夫と妻のそれぞれの税額が変わり、どちらに有利かは立場によって逆になることがあります
  • 子どもと離れて暮らす側も、養育費の払い方によっては子どもを扶養控除の対象にできる場合があります。ただし、同じ子どもを元夫婦の両方が対象にすることはできないため、どちらが申告するかを決めておきます

自分の状況から読む箇所を選ぶ

離婚にともなう税金は、分ける財産や家族の状況によって、確認する内容が変わります。
次の表で、先に読む箇所を選んでください。

自分の状況先に読む箇所
財産分与は現金で行う「受け取る側には、通常は贈与税がかからない」と「財産分与・慰謝料・養育費に贈与税がかかる例外」
自宅などの不動産を分ける「財産分与は『何で渡すか』で税金が変わる」。自宅の場合は「自宅を財産分与するときのマイホーム特例」も確認します
子どもがいる「子どもの扶養控除とひとり親控除」。離れて暮らして養育費を払う側も、この章で確認できます
住宅ローンが残る「住宅ローンが残る自宅の住宅ローン控除」

複数の状況に当てはまる場合は、当てはまる行の箇所をすべて確認してください。
たとえば、住宅ローンの残る自宅を渡す場合は、
不動産と住宅ローンの両方が関係します。
配偶者控除や配偶者特別控除を受けていた方は、
「配偶者控除は12月31日時点で判定され、離婚の時期で税額が変わる」の章もあわせて確認してください。

離婚した年に最初に確認する3つのこと

離婚にともなう税金は、大きく分けて3つの場面で動きます。
財産を分けるとき、自宅の住まい方を決めるとき、
そして年末に控除を申告するときです。
どれも話し合いで決めた内容によって結果が変わるため、
次の3点を時系列に並べておくと、相談の場で状況を説明しやすくなります。

確認すること税金への影響決まっていると整理しやすいこと
何を、いつ、どちらに渡すか土地や建物を渡すと、渡した側に譲渡所得の課税が生じることがある
  • 分与する財産の一覧
  • 分与する日
離婚が成立する日配偶者控除などは12月31日時点の状況で判定される離婚届を出す日が年内か年明けか
子どもをどちらが扶養するか扶養控除・ひとり親控除をどちらが受けられるかが変わる
  • 子どもと暮らす親
  • 養育費の金額と支払期間

不動産を分与する場合は、分与の取り決めをした日や実際に渡した日が分かる書類と、
登記の書類をあわせて手元に置いてください。
登記をした日だけで税金上の日付を判断せず、
必要に応じて税理士や司法書士に確認します。

離婚協議書の書き方や親権、
養育費の取り決めそのものは法律の問題で、この記事では扱いません。
税金の話と並行して、弁護士などの専門家に相談してください
(相談先の分け方は後半で整理します)。

財産分与は「何で渡すか」で税金が変わる

財産分与は、離婚するときに、
相手の請求にもとづいて夫婦の一方がもう一方に財産を渡すことです。
税金の扱いは、受け取る側と渡す側で分けて考えます。

受け取る側には、通常は贈与税がかからない

国税庁は、離婚で相手から財産をもらった場合、
通常は贈与税がかからないとしています。
相手から贈与を受けたのではなく、夫婦の財産関係の清算や離婚後の生活保障のために、
財産分与を請求する権利にもとづいて受け取ったものと考えられるためです
(国税庁 No.4414)。
例外は後の章で整理します。

土地や建物で渡すと、渡した側に譲渡所得の課税

注意したいのは渡す側です。
財産分与を土地や建物で行うと、分与した人に譲渡所得の課税が行われ、
分与したときの時価(その時点で売るとしたらいくらになるかという価額)が譲渡所得の収入金額になります
(国税庁 No.3114)。
お金を受け取っていなくても、
税務上は分与したときの時価で手放したものとして計算します。

計算の基本は「譲渡所得=分与したときの時価−(取得費+譲渡費用)」です。
たとえば、次のような仮の条件で考えてみます。

  • 夫の単独名義の自宅マンションを、財産分与で妻に渡す
  • 分与したときの時価は3,500万円
  • 取得費は2,800万円(購入代金や購入手数料などの合計から、建物について所有していた期間の減価償却費に当たる額を差し引いた後の額)、譲渡費用はないものとする

この場合、3,500万円−2,800万円=700万円が譲渡所得になり、
夫にはこの700万円に対する所得税と住民税がかかる計算です
(特例を使わない場合。数値は説明のための仮定です)。

反対に、時価が取得費を下回っていれば、譲渡所得は生じません。
取得費の求め方や所有期間による税率の違いは、
実家相続・空き家売却時の譲渡所得税対策 でも解説しています。

受け取った側の取得価額は、分与したときの時価

受け取った側は、分与を受けた日に、
その時の時価で土地や建物を取得したことになります。
上の例なら、妻がマンションを取得した価額は3,500万円です。
将来このマンションを売るときは、3,500万円をもとに取得費を計算します。
税率が変わる長期譲渡(売った年の1月1日時点で所有期間が5年超)か短期譲渡(5年以下)かも、
財産分与を受けた日から数えて判定します(No.3114、国税庁 No.3202)。
受け取った側は、分与の時価が分かる資料を登記の書類と一緒に保管しておいてください。

そのまま分与するか、売ってから分けるか

自宅を第三者に売り、その代金を夫婦で分けるやり方もあります。
売ったときに利益が出れば、名義人に譲渡所得の課税があるのは同じです。
どちらの方法でも税金がなくなるわけではなく、
課税されるきっかけと、使える特例が変わります。

分け方渡す側(名義人)の税金受け取る側
自宅をそのまま財産分与する分与したときの時価で譲渡所得を計算する分与を受けた日に時価で取得したことになる
第三者に売って代金を分ける売った代金で譲渡所得を計算する受け取るのは現金。不動産の取得はない

自宅を財産分与するときのマイホーム特例

住んでいた家を手放すときには、
「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」(マイホーム特例)があります。
要件を満たせば、所有期間の長さに関係なく、
譲渡所得から最高3,000万円を差し引けます。
先ほどの例の700万円の譲渡所得も、
この特例を使えれば税金がかからない計算になります。

ただし、離婚にともなう分与では、
次の要件に特に注意が必要です(国税庁 No.3302)。

  • 親子や夫婦など「特別の関係がある人」に対して渡したものでないこと。生計を一にする親族、渡した後にその家で同居する親族、内縁関係にある人なども含まれます。離婚が成立する前に分与すると、相手はまだ夫婦なので、この要件を満たしません
  • すでに家を出ている場合は、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに渡すこと
  • 特例は自動では適用されず、確定申告が必要なこと

このほかにも、前年・前々年に同じ特例を使っていないことなどの要件があります。
「離婚した後に分与すれば必ず使える」というものではないため、
分与の時期や分与後に誰が住むかを決める前に、
すべての要件に当てはまるかを確認してください。

もう一つ、マイホーム特例を使った人は、
新しく住む家の住宅ローン控除を一定の期間受けられなくなります。
No.3302 では、入居した年とその前年・前々年にこの特例を使った場合などが挙げられています。
自宅を渡した側が、離婚後に住宅ローンで家を買う予定がある場合は、
どちらの制度を使うと有利かを比べてから決めます。
住宅ローン控除の要件は 住宅ローン控除の適用要件と初年度の確定申告 で解説しています。

財産分与・慰謝料・養育費に贈与税がかかる例外

財産分与として受け取った財産にも、贈与税がかかる場合があります。
国税庁が挙げているのは次の2つです(No.4414)。

  • 分与された財産の額が、婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額やその他すべての事情を考えても、なお多過ぎる場合。この場合は、多過ぎる部分に贈与税がかかります
  • 離婚が、贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合。この場合は、離婚によってもらった財産のすべてに贈与税がかかります

どこからが「多過ぎる」かの金額や割合は示されていません。
分与する財産の中に、相続で受け継いだ財産など、
夫婦の協力とは関係なく得た財産が含まれている場合は、
分与の前に考え方を整理しておくと安心です。

子どもの養育費は、扶養する義務のある人から生活費や教育費に充てるために受け取るもので、
通常必要と認められる範囲であれば贈与税はかかりません。

ただし、国税庁は、贈与税がかからないのは必要な都度、
直接生活費や教育費に充てるものに限られ、
預金したり株式や不動産の購入資金に充てたりした場合は贈与税がかかるとしています
(国税庁 No.4405)。
将来の分をまとめて受け取る場合は、その使い道に注意が必要です。

慰謝料は、名目が慰謝料であっても、
金額や内容によって税金の扱いが変わることがあります。
財産分与とあわせて個別に確認してください。

配偶者控除は12月31日時点で判定され、離婚の時期で税額が変わる

「離婚するなら年内より年明けのほうが税金が安くなる」と聞いたことがあるかもしれません。
これは、配偶者控除の判定時期に関係しています。

配偶者控除の対象になる配偶者は、その年の12月31日の現況で判定され、
民法上の配偶者であることが要件の一つです(国税庁 No.1191)。
そのため、12月30日に離婚が成立しても、その年は配偶者控除を受けられません。

反対に、1月1日以降に離婚すれば、前の年の12月31日にはまだ夫婦なので、
前の年の分は配偶者控除の対象になり得ます。
配偶者特別控除も、民法上の配偶者であることが要件です(国税庁 No.1195)。

住民税でも、配偶者控除や扶養の判定は12月31日時点の生活状況で行われます。
坂戸市の住民税Q&Aでは、12月20日に離婚した例について、
元の妻は配偶者控除の対象にならないと説明しています
(坂戸市:住民税Q&A(扶養控除編))。
住民税は前の年の所得に対してかかるため、
離婚した年の変化は、翌年度の住民税に表れます。

控除がなくなったときの税額の目安

配偶者控除がなくなると、その分だけ税金の計算の対象になる所得が増えます。
増える税額の目安は「控除額×税率」で計算できます。
所得税の配偶者控除は、本人の合計所得金額が900万円以下なら38万円です。
住民税の配偶者控除は、同じ所得の範囲で33万円です(東京都主税局:個人住民税)。
住民税の所得割の税率は10%です。

課税所得の水準(仮定)所得税の増加の目安住民税の増加の目安
税率10%の範囲(例:課税所得250万円)38万円×10%
=約3万8千円
33万円×10%
=約3万3千円
税率20%の範囲(例:課税所得450万円)38万円×20%
=約7万6千円
33万円×10%
=約3万3千円

所得税の税率は、課税される所得金額が195万円以上330万円未満なら10%、
330万円以上695万円未満なら20%です(国税庁 No.2260)。
表は、控除がなくなっても税率の区分が変わらない場合の単純な計算で、
復興特別所得税や住民税の調整控除は含めていません。
配偶者の所得が一定額を超えていて配偶者特別控除を受けている場合は、
控除額が38万円より少ないこともあります。

一方で、年内に離婚すると有利になる人もいます。
子どもを引き取って年内に離婚した側は、
その年からひとり親控除の対象になる可能性があるからです(次の章)。
配偶者控除を受けていた側から見れば年明けの離婚が、
子どもと暮らす側から見れば年内の離婚が、
税額の面では有利になることがあり、どちらが得かは立場と所得によって変わります。
税金だけで離婚の時期を決めるのではなく、
変わる金額の目安を知ったうえで話し合うための材料にしてください。

12月に離婚したときの年末調整

会社員の場合、年末調整はその年の最後の給与を支払う日の状況で行われます。
そのため、12月の年末調整で配偶者控除を受けた後、
12月31日までに離婚すると、年末調整の税額が本来の税額より少なくなります。
国税庁は、この場合、勤務先に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を出して年末調整をやり直すとしており、
控除が減って税額が不足する場合は、
翌年1月末日以降であってもやり直す必要があるとしています(国税庁 No.2671)。
年の途中で離婚した場合も、勤務先への届け出を忘れないようにしてください。

なお、配偶者の所得の要件は年分によって変わります。
配偶者控除の対象になる配偶者の合計所得金額は、
令和7年分は58万円以下(給与だけなら給与収入123万円以下)、
令和8年分からは62万円以下(同136万円以下)です(No.1191)。

子どもの扶養控除とひとり親控除

子どもがいる場合は、子どもにかかわる控除を元夫婦のどちらが受けるかも変わります。
こちらも、原則としてその年の12月31日の状況で判定します。

子どもと暮らす側が確認する控除

子どもと暮らす側は、次の3つの控除に当てはまるかを確認します。

控除確認する主な条件所得税の控除額
ひとり親控除
  • 婚姻をしておらず、事実婚に当たる相手もいない
  • 生計を一にする子がいる
  • 本人の合計所得金額が500万円以下
35万円
寡婦控除
  • ひとり親控除に当てはまらない
  • 夫と離婚した後に婚姻をしておらず、事実婚に当たる相手もいない
  • 扶養親族がいる
  • 本人の合計所得金額が500万円以下
27万円
扶養控除
  • 12月31日時点で16歳以上の子と生計を一にしている
  • 子の合計所得金額が一定額以下
38万円(19歳以上23歳未満の子は63万円)

ひとり親控除の対象になる子は、総所得金額等が令和7年分は58万円以下、
令和8年分からは62万円以下で、
ほかの人の扶養親族などになっていない子に限られます(国税庁 No.1171)。
寡婦控除は、夫と離婚した女性などが対象の控除です。
ひとり親控除と同じく、事実上の婚姻関係と同様の事情にあると認められる相手がいる場合は受けられません
(国税庁 No.1170)。

ひとり親控除と扶養控除では、子どもの年齢の条件が違います。
扶養控除の対象になるのは12月31日時点で16歳以上の子で、
16歳未満の子は所得税の扶養控除の対象になりません。

一方、ひとり親控除の「生計を一にする子」には年齢の制限がありません。
扶養控除の対象になる子の合計所得金額は、令和7年分は58万円以下、
令和8年分からは62万円以下です(国税庁 No.1180)。

「生計を一にする」は、生活費や学費などを共にしている関係のことで、
同居しているかどうかだけでは決まりません。

また、合計所得金額などの所得の条件は、給与の額面(年収)ではなく、
給与所得控除などを差し引いた後の金額で見ます。

子どもと離れて暮らし、養育費を払う側

子どもと一緒に住んでいなくても、扶養控除の対象にできる場合があります。
国税庁の質疑応答事例では、離婚にともなう養育費の支払いが、
扶養する義務を果たすためのもので、
「成人に達するまで」など一定の年齢に限って行われている場合は、
支払っている期間は原則として子どもと「生計を一にしている」ものとして扶養控除の対象にしてよいとしています
(国税庁の質疑応答事例(養育費の負担))。

ただし、同じ子どもについて扶養控除が認められるのは、
元夫と元妻のどちらか一方だけです。
また、慰謝料や財産分与の総額に養育費が含まれていて、
養育費の額をはっきり区分できない場合は、このように扱うのは難しいとされています。
離れて暮らす側がその子を扶養親族として申告すると、子どもと暮らす側は、
その子についてはひとり親控除の対象にできません
(対象になる別の子がいる場合は別です)。
どちらが子どもを申告するかを話し合いで決め、
養育費は金額と期間が分かる形で取り決めておくと、
年末調整や確定申告で迷わずに済みます。

住宅ローンが残る自宅の住宅ローン控除

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、住宅ローンを使って家を取得した人が、
控除を受ける年の12月31日まで引き続きその家に住んでいることが要件の一つです
(国税庁 No.1211-1)。
離婚で自宅の住まい方が変わると、控除を受けられる人も変わります。

離婚後の状況住宅ローン控除確認すること
家を出て、ローンだけ払い続ける自分が住んでいないため受けられないローンの負担を財産分与の中でどう調整するか
住み続け、自分のローンを返し続けるほかの要件を満たしていれば続けられる控除を受けている人の持分とローンの名義
財産分与で相手の持分を取得して住み続ける追加で取得した持分も対象になる場合がある
  • 持分の取得にかかる借入金があるか
  • あらためて行う確定申告

持分の追加取得や新たな借入れがある場合

表の三つ目の場合について、国税庁は、
財産分与で住んでいる家の共有持分を追加で取得したときは、
新たに家を取得したものとして、
もとから持っていた持分と追加で取得した持分のどちらも住宅ローン控除の対象にできるとしています。

ただし、追加で取得した持分にかかる一定の住宅ローンがあることなどが要件で、
控除額が最初の申告と変わるため、国税庁は、再度、
確定申告が必要と案内しています(国税庁 No.1237)。

元の配偶者が持っていた家を財産分与で受け取り、
その家の債務を返すために自分で銀行から借り入れた事例でも、
住む要件などのほかの要件を満たせば控除を受けられるとされています。
財産分与による取得は贈与ではなく、すでに離婚しているため、
生計を一にする親族からの取得にも当たらないためです
(国税庁の質疑応答事例(財産分与による住宅の取得))。

ローンの名義変更や借り換えは金融機関の審査

住宅ローンを片方の単独の借入れに変える、借り換える、
連帯債務から外れるといった手続には金融機関の審査があり、
税金の手続とは別に進みます。
夫婦の間で話がまとまっても、
審査の結果しだいで希望どおりに変えられないこともあるため、
早めに金融機関に相談してください。

離婚した年に確認する手続

ここまでの内容を、手続の面から整理します。
当てはまる行があれば、その手続が必要かどうかを確認してください。

状況まず確認する手続読む箇所
土地や建物を分与した(渡した側)譲渡所得の確定申告が必要か。マイホーム特例を使う場合は確定申告が必要「自宅を財産分与するときのマイホーム特例」
配偶者控除や扶養控除の対象が変わった勤務先へ「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を出す「12月に離婚したときの年末調整」
財産分与で自宅の持分を追加で取得した住宅ローン控除の適用を受ける場合は、あらためて確定申告をする「住宅ローンが残る自宅の住宅ローン控除」

離婚した人のすべてに確定申告が必要になるわけではありません。
会社員で、変わるのが控除の対象だけであれば、
まず勤務先に届け出て、年末調整で対応できるかを確認します。

相談先は税理士・弁護士・司法書士・金融機関で分ける

離婚にともなう手続は、税金、法律、登記、ローンが重なります。
一か所ですべてを決めようとせず、それぞれの専門家に何を聞くかを分けておくと、
話し合いの結論が税金や登記の手続とずれずに済みます。

相談先主に相談すること
税理士財産分与の譲渡所得の見込み、マイホーム特例や住宅ローン控除の要件、配偶者控除・扶養控除・ひとり親控除、確定申告
弁護士財産分与の内容や割合、慰謝料、養育費、親権、離婚協議書
司法書士不動産の名義を変える登記
金融機関住宅ローンの名義変更、借り換え、連帯債務や連帯保証の扱い

とくに不動産を分与する場合は、
分与の内容が決まってからでは税金の面で選べる方法が限られることがあります。
話し合いの内容が固まる前に、税額の見込みを確認しておくと、
ほかの条件と並べて判断できます。

会社員・公務員の方の確定申告は、会社員向けの専用サイト サラリーマン・会社員向け確定申告サービス(sarakaku.com) で料金と対応範囲をご案内しています。それ以外のご相談や、どちらに当てはまるか分からない場合は、お問い合わせページ またはお電話(03-6456-4911、平日10:00〜18:00)からご連絡ください。

税理士に相談するときに持っていく資料

税金の相談では、何をいつ誰に渡すかと、
控除にかかわる家族の状況が分かる資料があると、
見込みを具体的に出しやすくなります。
手元にあるものから集めてください。

財産と自宅の資料

資料確認できること
不動産の登記事項証明書名義と持分、取得した日
購入時の売買契約書・領収書取得費の計算のもとになる金額
査定書など時価が分かる資料分与したときの時価の見込み
住宅ローンの契約書・年末残高の証明書ローンの名義、残高、住宅ローン控除の状況

収入と家族の資料

資料確認できること
夫婦それぞれの源泉徴収票所得の水準と、配偶者控除・扶養控除の状況
財産分与・養育費の取り決めの案分与する財産と時期、養育費の金額と期間
離婚の予定日が分かるメモ12月31日時点の状況で判定される控除の見込み

よくある質問

Q. 財産分与で受け取った現金や家に、贈与税はかかりますか?

通常はかかりません。
夫婦の財産の清算や離婚後の生活保障のための財産分与と考えられるためです。
ただし、夫婦の協力で得た財産などを考えても多過ぎる部分や、
贈与税・相続税を免れるための離婚と認められる場合は、贈与税がかかります。
家を受け取った場合は、贈与税とは別に、
将来売るときの取得価額が分与したときの時価になる点も覚えておいてください。

Q. 年の途中で離婚したら、その年の配偶者控除はどうなりますか?

その年の12月31日の時点で夫婦ではないため、
その年の分は配偶者控除を受けられません。
12月の年末調整で配偶者控除を受けた後に離婚した場合は、
勤務先に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を出して年末調整をやり直してもらいます。
控除が減って税額が不足する場合は、翌年1月末日を過ぎていてもやり直しが必要です。

Q. 別れて暮らす子どもを、自分の扶養控除の対象にできますか?

養育費を、扶養する義務を果たすために、
成人するまでなど一定の年齢に限って支払っている場合は、
支払っている期間は原則として扶養控除の対象にできるとされています。
子どもが16歳以上であることや所得の要件もあります。
同じ子どもを元の配偶者も扶養控除の対象にしている場合は、
どちらか一方しか認められないため、事前に話し合って決めておきます。

Q. 財産分与で受け取った家を売るとき、所有期間はいつから数えますか?

財産分与を受けた日から数えます。
結婚していたときから住んでいた家でも、
元の配偶者が購入した日ではなく、分与を受けた日を基に、
売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超える長期譲渡か、
5年以下の短期譲渡かを判定します。
取得費も、分与を受けたときの時価をもとに計算します。

まとめ

離婚にともなう財産分与は、受け取る側には通常、贈与税がかかりません。
一方で、土地や建物で渡すと、
渡した側に分与したときの時価で譲渡所得の課税が生じることがあります。
自宅を分与する場合は、マイホーム特例の要件と、住宅ローン控除への影響を、
分与の時期と住まい方を決める前に確認してください。

配偶者控除や扶養控除、ひとり親控除は、
原則として12月31日の状況で判定されるため、
離婚の時期と子どもをどちらが扶養するかで、双方の税額が変わります。

読み終えたら、次の順で進めてください。

  • 自分の状況に当てはまる章を確認する
  • 分与する日と離婚が成立する日を整理し、不動産の資料、源泉徴収票、財産分与と養育費の取り決めの案をそろえる
  • 税金は税理士、法律は弁護士、登記は司法書士、ローンは金融機関、控除の届け出は勤務先と、内容に合った相手に確認する

この記事の監修者

中山慎吾(トランス税理士法人 代表税理士)
東京税理士会所属(登録番号 第140269号)。税理士・CFP・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・宅地建物取引士・管理業務主任者。会社員・公務員の個人税務を中心に、確定申告・節税・不動産・資産運用の税務相談を担当。
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