ESG関連指標と法人税法施行令69条
2019年6月17日
役員報酬として業績連動報酬を付与する企業が増えてきています。どのような業績に役員報酬が連動するかは、当期純利益、営業利益、売上高、1株当たり利益(EPS)、投下資本利益率(ROIC)、自己資本収益率(ROE)、純資産利益率(ROA)など様々な指標がその算定根拠とされていますが、最近導入する例が多いものとしてESG関連指標をその算定根拠とするものです。
ESGとは「Environmental(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の頭文字を組み合わせたもので、最近日経新聞をはじめとするメディアでもよく取り上げられるようになっているキーワードです。このESGは長期的に株主価値を向上させる指標として注目されダウジョーンズ社が評価・選定するESGインデックスに基づかれることが多いようで、一部の上場企業でも役員報酬の算定基準として採用している所が増えています。
このESGを意識して経営をすると社会全体にも好循環となることが予想され、各企業とも無視できない存在となりつつありますが、ここにも日本においては「税の壁」があります。
ESGインデックスをはじめとESG関連指標が業績連動報酬の算定根拠となっている場合、法人税法上の業績連動給与として損金算入できない可能性が非常に高そうです。
業績連動報酬を法人税法上「損金算入」とするためには、業績連動報酬が法人税法施行令69条⑩(利益関連)⑪(株価関連)⑫(売上関連)のいずれかに規定された指標に基づいて算定されている必要がありますが、ESG関連指標は⑩~⑫までのどれにも当てはまらないためです。
このまま「税の壁」でESGが日本においても普及しないとなると、もったいないような気がします。