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「2割負担」拡大先送り 介護保険改革

2019年12月19日

厚生労働省は16日、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の介護保険部会を開き、介護保険制度の見直し案を提示しました。原則1割となっている介護サービス利用者の自己負担について、収入に応じて2割負担の対象者を拡大するかが焦点になっていましたが、先送りしました。その一方で、一部の低所得高齢者について、介護施設を利用する際の食費、部屋代の自己負担を月額22,000円増やします。高所得世帯については、介護サービスを受ける際の自己負担の月額上限を引き上げます。特別養護老人ホーム(特養)など介護施設は、食費と部屋代は原則的に自己負担。ただ現在、年収155万円以下の住民税非課税世帯のうち、預貯金や有価証券などが単身で1,000万円以下の人は補助を受けられます。

 

今回の見直しで、非課税世帯に「年金収入等が120万円超」という新たな区分を設け、1ヶ月の自己負担を22,000円増やし、預貯金などの保有額も「1,000万円以下」から「500万円以下」に引き下げます。介護サービス利用者の自己負担の割合は平成12年4月の制度開始以降、所得水準に関係なく1割が続きました。平成27年8月から一定以上の所得者は2割に、このうち現役並みの高所得者は平成30年8月に3割になりました。ただし、2~3割負担の対象者は限定的で、1割負担が利用者の90%を占めます。また、医療費と同様に「高額介護サービス」という仕組みがあり、1ヶ月の自己負担額には上限が設けられています。

 

今回、相応の負担を求めるため、高所得者の上限を見直し、現在の月44,400円を、年収約770万円以上の世帯は93,000円、約1,160万円以上は140,100円にそれぞれ引き上げます。制度改正で論点だった、介護保険サービスを利用する際に必要な「ケアプラン」(介護計画)の有料化や、要介護1、2の人の生活援助サービスの市区町村への移行も先送りします

 

見直し案について、介護保険部会は月内に結論をだし、厚労省は来年の通常国会に関連法案を提出し、令和3年度からの制度改正を目指します。なぜ、先送りする必要があるか明確になっていませんが、制度の持続可能性を高める改革は踏み込み感が足りない内容になってしまったと思います。

 

 

 

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