消費税の軽減税率
2019年4月16日
いよいよ今年の10月から消費税率のアップが始まりますが、色々と生活に支障が出てきそうなものに「軽減税率」があります。
飲食料品及び新聞の譲渡については、標準税率10%ではなく、現行の税率と同じである「軽減税率」の8%が適用になりますが、この「飲食料品及び新聞」の定義が色々とややこしく我々一般国民の消費活動でも判断に迷いそうなものが数多くあります。
「飲食料品の譲渡」とは、食品表示法に規定する食品(酒類を除き、一定の要件を満たす一体資産を含む)の譲渡で「外食」を除くとされています。
食品表示法に規定する食品とは「医薬品」を除くすべての飲食物をいい、食品衛生法に規定する「添加物」を含むとされています。
ここでも定義が必要になるのは「酒類」「一体資産」「外食」「医薬品」「添加物」という言葉ですが、「添加物」以外のものをもう少し詳しくみたいと思います。
「酒類」とは、酒税法に規定する酒類であり、「アルコール分1度以上の飲料」と規定されているので、一般的なビールや焼酎、ワインなどは標準税率10%が適用となります。意外なところではみりんや料理酒などは酒税法に規定する酒類に該当することから標準税率が適用となります。
「一体資産」は譲渡対価1万円以下と全体の価額のうち食品の価額の占める割合が2/3以上であることの両方を満たせば軽減税率とされていますが、例えばプロ野球チップスのポテトチップス部分とプロ野球カード部分の割合はどのように出すのでしょうか。
「外食」とは飲食設備のある場所で飲食料品を飲食させる役務の提供と規定されています。ここでいう「飲食設備」については規模や目的は問わないとされているので、折り畳み式のような簡易な椅子やテーブルが設置されていれば外食と定義され標準税率が適用となります。ファーストフード店などで店内で飲食すれば標準税率、テイクアウトをすれば「外食」にはならず軽減税率とするとされていますが、現場の判断だけでそう簡単に区分が出来るかは非常に疑問です。すでにコンビニやスーパーなどの休憩施設は、飲食禁止を明示してあれば軽減税率の適用になるとのことですが、もしこの休憩施設で飲食をお客さんがしてしまうと差額の2%の消費税を店員は徴収しなければならないとなるのかは疑問ですし、色々なことを考えてくる人もすごく多く出そうです。
「医薬品」は医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律に定める「医薬品」「医薬部外品」及び「再生医療等製品」については軽減税率が適用になりますが、社会保険診療等としての医薬品の給付については、現行から引き続き非課税取引とされています。
最後に軽減税率の「新聞」の定義ですが、「一定の題号を用い、政治、経済、社会、文化等に関する一般社会的事実を掲載するもので週2回以上発行されるもの」と規定されていますが、これも抜け穴を考えることが可能な概念となりそうです。
このような消費税の標準税率と軽減税率の論点は細かいものも含めれば1000以上あると言われており、10月以降様々な混乱が小売店では起きそうです。