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除却損の計上

2018年10月5日

築年数が古いワンルームマンションやアパートだと、バス・トイレ・洗面台が一緒になったいわゆる3点ユニットという物件はまだまだかなりありますが、昨今はバス・トイレ別というのは標準的で、それだけで賃貸需要は大きく減少します。

そこで、3点ユニットからバス・トイレ別にリフォームをする不動産オーナーさんも数多くいらっしゃいますが、税務上の注意点として以下の2点があげられます。

 

・交換したバス・トイレは修繕費ではなく、資本的支出に計上

新しいバス・トイレに関しては、修繕費として一括して費用計上することは出来ず、基本的に建物付属設備の法定耐用年数15年を使って減価償却していくことになります。国税不服審判所の裁決事例を見てみると概ね60万円を境に資本的支出としての計上が求められていますので、このような大規模リフォームでは一括費用計上はできないことが多いでしょう。

 

・3点ユニットの除却損

その代わりといっては何ですが、今まで使っていた3点ユニットは無くなってしまったわけなので、未償却残高に関しては除却損として必要経費となります。この除却損は非常に忘れがちな費用です。不動産所得が事業的規模以外の場合ではその必要経費算入額は不動産所得の金額が限度となりますが、事業的規模になっていれば、その必要経費算入額に限度は無くなります。

問題は、この3点ユニット部分の金額がいくらなのかを合理的に算定することが必要となってきます。自分が建てたアパート等の場合でその建築時の資料が残っていればよいのですが、中古資産として買った場合やマンション等の区分所有物件の場合は建築時の資料が手元に無いことがほとんどでしょう。未償却残高相当額の算定が困難ですが、現に取壊しの事実は生じているので、税務的にはこの除却損を是非とも費用計上したいものです。

平成26年4月21日の裁決では、建物の1㎡当たりの取得価額取壊し部分の床面積を乗じた金額をその取壊し部分の取得価額相当額として除却損の額を算定した事例があります。このように、未償却残高の算定が困難な場合でもあきらめずに何とか合理的な方法で算定していくことが必要です。