脱税で国家が崩壊
2018年10月12日
税金からどうやって逃れるかというのは、今に始まったことではなく大昔から人々が考えていることです。
日本の歴史上、かなり大胆かつ大規模に税逃れをしたのが、平安時代の藤原氏、特に藤原良房(804年~872年)、藤原基経(836年~891年)です。
平安時代の前の奈良時代に三世一身の法、墾田永年私財法で、それまで公地公民という日本の土地は全て天皇のものである前提が崩れ、寺社や有力豪族に土地の所有が認められましたが、良房、基経はさらに課税をも逃れる妙案を考え付きます。
歴史の教科書に必ず出てくる「荘園」というものです。
荘園とは「別荘の庭園」という意味です。
いくら土地の所有が認められていたとしても、そこが農地である限り課税はされ、その税は国庫に入ることになっています。
そこで荘園という脱税システムを藤原氏は構築します。その私有地は農地ではなく、藤原氏の別荘の庭園とすることで、そこに何が生えようが、それは庭園の草花だということにしました。庭園の草花であれば課税の対象にはなりませんでした。
そして、さらに藤原氏はその荘園に対して勝ち取ったのが、免税特権である「不輸の権」と、国の役人の立ち入りを禁じる「不入の権」です。
こうして藤原氏は繁栄する一方、国家の財政は破綻しました。
結果、平安中期以降、芥川龍之介が「羅生門」で書いたように国内は荒れ果て、武士が台頭し、藤原氏自身の勢力も脅かすようになりました。