節税保険メリットの消失
2019年4月22日
国税庁が2月13日に「ピーク時の解約返礼率が50%超の法人向け定期保険」の税務上の取り扱いを近いうちに見直すことを生保各社に通知し、日本生命など大手各社は対象となりそうな商品の販売を停止していますが、その後国税庁は4月11日付で改正通達案を公表しています。5月10日まで意見募集をしていますが、過去の通達改正の状況から考えると発表された改正案のままとなる可能性が高いと考えられます。
改正通達案の中で特にポイントとなりそうなのが解約返礼率ごとに支払保険料の何割の資産計上が求めらえるかが示された改正通達案9-3-5の2の図表で、今回の通達改正のきっかけとなった一定期間災害保障重視型定期保険の資産計上割合も明らかにされています。
一定期間災害保障重視型定期保険は、保険期間の開始から一定期間は基本的に災害による死亡の場合のみ保険金を支払い、病気による死亡の場合には保険金が支払われないため、解約返礼率が従来の定期保険に比べて高く設定されていることに加え、保険料が全額損金算入されることから、法人向けの節税策として高い人気を誇っていました。
一定期間災害保障重視型定期保険の最高解約返礼率は85%前後のものが多いのですが、今回の通達改正で解約返礼率75%超85%以下の場合、損金算入割合は40%となります。
最高解約返礼率が85%を超えると損金算入割合はさらに圧縮されます。改正通達はこの種の保険について「保険期間開始日から10年を経過する日」までは「最高返礼率×90%」の資産計上が求められており、節税メリットは大幅に低下することになるため生保各社は大きなヒット商品を失うことになりそうです。