国外財産調書不提出による初の告発
2019年7月30日
各種報道によると、「国外財産調書」の不提出により初めて告発が起きています。
大阪国税局は国外送金等調書法違反(不提出)と所得税法違反の罪で、京都府山科区の家具輸入販売会社の社長を京都地検に告発しています。同社長は27年~29年の間に計2億1千万円の所得を隠し、8300万円を脱税、そのうち7300万円を香港の海外口座に隠したうえ、「国外財産調書」を故意に提出しなかったとみられ、告発に至っています。
問題の「国外財産調書」ですが、その年の12月31日において、その価額の合計額が5000万円を超える国外財産を有する者は、その国外財産の種類、数量及び価額その他必要な事項を記載して、その年の翌年の3月15日までに所轄税務署長に提出すべきものです。ここが少しいやらしいところなのですが、一般的にある人が保有する金銭的な価値があるものは「資産」と言われることがおおいのですが、この「国外財産調書」では「財産」という言葉が使われていることです。この「資産」と「財産」の違いなのですが、例えばアメリカに時価6000万円相当の不動産をローン5000万円組んで購入した場合のことを考えてみると、「資産」と考えた時6000万円-5000万円=1000万円が正味の資産と考えられると思いますが、この「国外財産調書」における「財産」の考え方は負債部分を全く考慮に入れないのでこの場合だと海外に6000万円の財産を保有していることになり「国外財産調書」の提出が必要ということになります。
国税庁は近年特に海外口座を利用した所得隠しの摘発に力を入れており、従来流布していたようなやり方は今後は通用しないと考えた方が無難でしょう。