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京アニへの寄付が税負担軽減へ

2019年8月28日

京都府宇治市に本社があるアニメ制作会社「京都アニメーション」の放火殺人事件をめぐり、政府が被害者らへの寄付金「地方公共団体に対する寄付金」と位置付け、税額控除制度を活用して寄付者の税負担を軽減する方向で調整していることが報じられました。犯罪被害に関する寄付金を災害義援金と同じように扱うことは極めて異例の措置だと思います。

 

今回の事件では35人が犠牲になり、今なお治療を受けている負傷者もいらっしゃいます。アニメファンなど個人だけでなく、国内外の企業からも支援の申し出が相次いでおり、京アニが開設した専用口座には、業界団体などの見舞金や募金を含めるとすでに20億円以上が集まり、今後さらに増える見通しとなっています。

 

政府は現在、金額の多い「企業からの寄付」について特別な対応を検討しているようです。企業の寄付は法人税法上、原則として資本金などに応じて算出する一定の限度額しか所得から差し引くことができません。企業による寄付が無制限に行われ、所得額を低く抑えられれば法人税収の減少につながるからです。また、京アニの口座にある支援金は収益とみなされ、京アニ側の課税対象という扱いになります。会社の再建や従業員のケアに努めなければならい京アニにとって、義援金が原因で税負担が増えるとなると余計な足かせとなります。

 

政府が特別な措置を決定し、寄付金の全額を損金算入できるようにすることで、京アニ支援に前向きな企業の社会貢献を後押しできる可能性があります。また寄付の受け入れ先を京アニの専用口座ではなく自治体などと統合すれば京アニ自体の課税負担を減らすことも出来そうです。これをきっかけに日本の「寄付制度」が改善されるような流れができることを期待します。