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リストリクテッドストックとストックオプション

2018年10月10日

本日(10月10日)付けの日本経済新聞一面に「自社株 報酬・M&A対価に」という記事が出ていました。

日本企業が自社株買いで取得した株式を従業員への報酬M&Aの対価などに有効活用する例が増えているとのことです。

個人が報酬を株式で得る場合、基本的にはリストリクテッドストックといって、株式が付与された時点と譲渡することが可能になる時期が異なる性質のものが多いです。いつの時点で個人の所得になるのかについては平成28年税制改正で、株式を得た日ではなく譲渡制限が解除された日となるとされています。またその配当については譲渡制限が解除されていない期間であっても配当所得とされています。

この個人が得る報酬が株式の場合は分かりやすいのですが、これが株式を決まった価格で購入できる権利「ストックオプション」になってしまうと話がややこしくなります。

大体15年から20年くらい前にこの種の税務裁判が花盛りで、裁判所によっては所得区分の見解が分かれました。

給与所得とした例として東京高判平成16年2月19日、東京高判平成17年4月27日、東京地判平成16年10月15日などがあり、一時所得とした例として東京地判平成14年11月26日、東京地判平成15年8月26日、東京地判平成16年12月17日などがあります。

下級審で判断が分かれたストックオプションの所得区分ですが、平成17年1月25日の最高裁判決でストックオプションは「給与所得」とされたので、現行では給与所得として申告することとなっています。

租税法の大家金子宏東京大学名誉教授は、一時期最高裁判決には否定的で本件における「ストックオプション」の所得区分を雑所得と考えられていた様ですが、最も新しい第22版『租税法』では現在は給与所得にあたると考えておられるようです。