ジョイント・テナンシー(1)
2019年5月20日
各種経済指標の好調ぶりや、現行制度では大きく減価償却が計上できることなどからアメリカへの不動産投資が人気ですが、現地アメリカでアメリカ人が不動産に投資する際には、「ジョイント・テナンシー」という手法を取ることが多いです。
ジョイント・テナンシーは日本では「合有財産権」と訳されることが多いですが、資産の保有形態の1つで、複数の人が資産を同時に共同所有し、各々金等の持分を有しますが、所有者の1人が死亡した場合、その人の持分が生存している他の所有者に自動的に移るというものです。各々が自分の持分については、他の所有者の了解をとることなく譲渡することが可能というのも特徴の一つです。
日本の場合、組合財産の所有形態が合有といわれ、上記ジョイント・テナンシーに近いですが、持分の処分は目的により制限され分割請求も出来ません。また、日本の一般的な共有の場合、共有者の一人が死亡した場合、その持分は共有者の相続人に引き継がれ、ジョイント・テナンシーのように他の共有者に自動的に引き継がれるということもありません。
アメリカでジョイント・テナンシーは普及しているのは大きく二つ理由があります。
1つは、相続手続きの煩雑さを回避するためです。
もう一つは、税制上のメリットです。アメリカでは贈与をした場合、日本と違って贈与税を支払うのは贈与をした側となり、相続の場合は、アメリカでは相続税ではなく遺産税と呼ばれますが、遺産税は相続人が支払うのではなく、いったん相続財団に財産が移り、その相続財団が払うという形になるのが特徴です。
アメリカ人夫婦でジョイント・テナンシーという形態で不動産を購入し、夫が資金を全額支払った場合は、夫が死亡し、配偶者に夫の持分が移転するまで贈与税や遺産税の負担がないということになります。
このジョイント・テナンシーの制度を利用してアメリカの不動産を日本在住の日本人夫婦が利用した場合の税制については明日触れてみたいと思います。