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「キングダム」時代の税金

2019年5月7日

多くの人にとって長かった10連休が明け、今日から仕事という方も多いと思います。

連休中、非常に話題になった映画に「KINGDOM(キングダム)」があります。

累計3600万部以上発行の大人気コミックが原作で、こうした実写ものに関しては珍しく原作ファンからの不満の声も少なく観客動員も非常に好調のようです。

「KINGDOM」は今まで日本にはあまりなじみのなかった紀元前200年前後、秦の始皇帝が中国全土を最初に統一するという時代が描かれています。この秦が統一をするにあたって非常に重視したものが人口調査と戸籍作成で秦時代の遺跡からは戸籍に関する資料も多く出土します。この人口調査と戸籍作成は主に効率的に税を徴収するために作成されたようです。

秦では、「算賦」という人頭税が課されていました。人頭税というのは人一人あたりにかけられる税金のことで、現在の日本では住民税の均等割りに性格が近いものです。「算賦」は豊かな者も貧しい者も同様に課されるので、貧しい者には辛い税金ですが、徴収する側からすると人数をチェックするだけで徴税が出来るので古代ではスタンダードな税金となっています。この「算賦」は15歳から65歳までの男女に毎年120銭がかけられ、商人と奴婢はその2倍の税額がかけられていたところに豊かな者からは多く徴収する工夫がされていたのかもしれません。また面白いところとして15歳から30歳までの未婚の女子には5倍の600銭もの算賦がかけられていたところでしょうか。当時の思想として、早く結婚を促すという効果はあったのでしょう。

「算賦」の他に民には兵役や労役が課せられていました。近年見つかった秦時代の古文書には以下のような記述があります。

・青年に達した者を隠して申告しなかったり、身体障害者の申告が不正確であれば、里老に労務刑を科す。

・老人の年齢ではないのに「老人」としていたり、老人の年齢なのに「老人」としていない場合は、鎧二領を納めなくてはならない。

このことから読み取れることは、苛烈な印象がある秦の始皇帝の政治も身体障害者や老人には一定の配慮がされており「キングダム」で描かれている偉大な為政者としての始皇帝「嬴政」がこれからコミックスで描かれるかもしれません。