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相続した土地が知らない内に・・・

2019年10月31日

相続人同士が遺産分割を巡って争う「争続」を避けるには、遺言を残しておくことが大事だといわれます。しかし、この遺言の「効力」が揺らぎ始めました。7月に始まった改正民法の相続規定(相続法)の影響です。相続が起こると被相続人(死亡した人)の財産を法定相続人の間で分けます。遺言がなければ相続人が遺産分割協議で分け、遺言があれば遺言が優先します。しかし、改正民法によって相続登記の順番によっては遺言が優先しないケースが想定されるようになりました。

 

相続登記とは被相続人の不動産の所有名義を取得分に応じて相続人の名義に変更することです。登記すれば不動産の所有権を対外的に主張できます。あまり知られていませんが、法定相続人は遺言があったとしても「他の相続人の了解を得ずに相続人全員がそれぞれの法定相続分を登記できるのです。

 

仮に、子がいない夫婦で、法定相続人が妻と夫の兄という場合。夫が「自宅は全て妻に相続させる」という遺言を残していても、妻の法定相続分は4分の3、夫の兄の法定相続分は4分の1になります。4分の1の法定相続割合をもつ夫の兄は妻より先に法定相続分を登記できます。すると4分の1は夫の兄の名義になるので売却したり、担保にしてお金を借りたりすることができます。そうなると困るのは妻です。せっかく自分に全てを相続させるとの遺言があるのに最悪の場合、自宅が「持ち分を購入した第三者との共有になる」からです。

 

改正前はそのような不都合は解消できました。妻が持ち分を買った第三者を訴えれば、勝訴して全てを自分のものにできました。これは最高裁「遺言があれば遺言が優先する」と判断していたからです。ところが、改正相続法では、「相続による権利の承継は,遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条(法定相続分)及び第901条(代襲相続人の相続分)の規定により算定した相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない」旨の明文の規定を設けました(新民法899条の2第1項)。

 

このような問題の解決策は一つです。自宅を全て相続させると遺言で指定された相続人は「他の相続人よりも先に全部を相続する旨の登記をすること」。他の相続人から遺留分(最低限の取り分で通常、法定相続分の半分)を請求される可能性はありますが、金銭で解決できる可能性が高いと思われます。仮のケースでは夫の兄には遺留分の請求権がないので妻が全て取得できます。今回の改正について知っているか知らないかで、大きな差が出ることを覚えておきましょう。

 

 

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