令和初の値上がり
2019年5月15日
元号をまたいだ10連休明けから、東京株式市場では日経平均が下落し続けるという相場になっておりました。5月5日にアメリカのトランプ大統領が中国に対して関税を上げる措置を取ると発表したことが株価続落の最大の要因です。この発表を受けた中国側も報復関税を課すという対抗措置について言及したため、世界中の投資家の心理がリスク回避の方向に向きました。株価が下がることを良しとしないトランプ大統領が「6月末に米中首脳会談を行う」と市場に配慮するようなコメントをしたこともあり、本日の株式市場では令和初の値上がりをようやく記録。この間の日経平均の下げ幅は1100円を超えており、投資家の中には大きな損失を出してしまった方もいることでしょう。もちろん相場なので、こういった連続下落局面だけでなく、値上がりが続くことも十分にあり得ますが、年間を通じて損失が出てしまった場合には注意していただきたいことがあります。ズバリ「損失の繰越しの申告」を忘れない事です。
株式等の譲渡所得は申告期限が翌年の3月15日までと決められています。株の譲渡で儲かった場合、源泉徴収ありの特定口座で運用していた場合は納税まで完結しているため、申告忘れとはなりません。しかし、損をしていて翌年以降に損失を繰り越しておきたい場合は税務署に申告していないといけないのです。実際、当事務所でも今年の3月15日の14時過ぎに「証券運用の申告ってまだ間に合いますか?」と問い合わせの電話が入り、超特急で手続きをしたケースがありました。また、前年までに損失を繰り越していたことを忘れており、当年の利益が相殺されたことによって税金が戻ってきて「なんか得した気分です」と感想をいただいた事例もあります。このように株式の譲渡損失の繰越しは、予想外の救済になるパターンもありますので、株式を運用している方は、書類を適切に管理し、正しく確定申告するようにしましょう!